膠原病とは
膠原病(こうげんびょう)は、本来は外からの細菌やウイルスから体を守る「免疫」のしくみが、自分自身の体に反応してしまうことで起こる病気の総称です。
皮膚、骨、血管、内臓などの形成に関わる「コラーゲン(タンパク質の一種で、膠とはコラーゲンのこと)」に炎症や変化が生じることによって引き起こされます。
これにより体の中で炎症が続き、関節、皮膚、筋肉、血管、肺、腎臓など、全身のさまざまな臓器に症状が出ることがあります。
原因はひとつに決まるわけではなく、体質(遺伝的な要因)に加えて、喫煙や歯周病、ウイルス感染、ホルモンバランス、紫外線、ストレスなどの環境要因が重なって発症すると考えられています。
膠原病で現れることのある症状
症状は人によって異なりますが、膠原病では以下のような症状が知られています。
- 長引く発熱
- 強いだるさ
- 関節の痛みや腫れ
- 起床時に手などがこわばる
- 筋肉の痛み
- 皮疹(湿疹のような発疹)
- 手指の冷えや色の変化(レイノー現象)
- 息切れ
- 痰の伴わない咳
など
当院では、内科・リウマチ科担当の院長が、地域にあって高い専門性と豊富な診療経験を活かして膠原病の診療を行っています。
上記のような症状のほか、「なんとなく不調が続く」「原因がはっきりしない痛みや微熱がある」といったときも、お気軽にご相談ください。
膠原病とされる主な疾患について
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症(全身性強皮症)
- 多発性筋炎・皮膚筋炎
- シェーグレン症候群
- 混合性結合組織病
- 血管炎症候群(多発血管炎性肉芽腫症など)
- 抗リン脂質抗体症候群
- 成人発症スチル病
- IgG4関連疾患
など
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常によって関節の内側(滑膜)に炎症が起こり、関節の痛みや腫れ、こわばりが続く病気です。
進行すると関節が変形し、日常生活に支障を来たします。
一方、近年は治療が大きく進歩しており、早期から適切に治療を始めることで、症状を抑え、関節のダメージを防ぐことが期待できます。
詳しくは「関節リウマチ」のページをご覧ください。
全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の異常により全身に炎症が起こり、皮膚や関節だけでなく、腎臓、血液、神経、肺などにも影響が出ることがある病気です。
日本では指定難病の一つとされ、全国での患者数は6万~10万人と推定されています。
患者さまは妊娠可能な女性に多く、若い世代から発症することもあります。
症状としては、鼻から頬にかけて蝶のような形の発疹が出現する「蝶形紅斑」が特徴的で、ほかに長く続く発熱やだるさ、関節痛、口内炎、日光過敏症、脱毛などがみられることがあります。
また、腎臓に炎症が起こると尿蛋白やむくみが出る場合があります。
このほか患者さまによっては、けいれん、胸膜炎や心膜炎、脳血管障害などの中枢神経症状がみられることもあります。
検査では、採血で炎症の程度や貧血・白血球減少などの変化を確認し、自己抗体(抗核抗体など)の有無を調べます。
尿検査や腎機能の評価も重要で、必要に応じて画像検査や病理検査など専門的な検査を追加します。
治療は、症状や臓器の状態に合わせて行っていきます。
一般的にステロイドによる薬物治療を中心とし、重症の場合は点滴でステロイドの大量投与を行うパルス療法を併用します。
近年は、ハイドロキシクロロキンなどの免疫調整薬や、MMFやタクロリムスなどの免疫抑制薬、べリムマブやアニフロルマブなどの生物学的製剤が保険適応の治療薬として採用されています。
ステロイド治療の離脱を目指しつつ、再燃(ぶり返し)を防ぎながら長期的にコントロールしていきます。
当院では、外来管理が可能な軽症例や寛解が得られた維持期の患者さまを中心とし、重度の臓器障害を伴った方や寛解が得られていない方については、高次医療機関と連携して診療を行います。
強皮症(全身性強皮症)
全身性強皮症では、皮膚や血管、臓器の一部が硬くなっていくという特徴があります。
指定難病の一つとなっており、国内での患者数は4万人と推定されています。
好発年齢は30~50歳で、圧倒的に女性に多く発症します。
全身性強皮症には、四肢末端の皮膚硬化が中心の「限局型強皮症」と全身に皮膚硬化が及ぶ「びまん性強皮症」があります。
いずれも皮膚硬化ばかりでなく、内臓の様々な臓器にまで硬化・線維化や末梢の循環器障害が現れる病気で原因不明とされています。
症状は、末梢循環障害による手指の冷えや色の変化(レイノー現象)から始まることが多く、皮膚がつっぱる、指が曲げにくい、飲み込みにくい、胸やけが続く、息切れがある、といった症状が手がかりになる場合があります。
皮膚症状に関しては、肘や膝の先から硬化が始まり、そのままそこでとどまる場合と、胸など体幹まで広まる場合があります。
線維化が皮膚だけでなく内臓まで進むことで、逆流性食道炎などの消化管疾患や、間質性肺炎、肺高血圧といった呼吸器疾患、腎機能障害などが引き起こされることもあります。
検査では、採血で自己抗体検査を行うほか、身体診察で手指や皮膚をみていき、また爪の付け根部分の血管の状態、肺や心臓など臓器の評価も行いながら病気の広がりを確認します。
治療としては、全身性強皮症自体を治す薬はまだないため、皮膚状況に応じて少量のステロイド薬を用いたり、末梢循環障害の状態によって血管拡張薬を使用したりします。
消化管機能低下に対しては、胃酸分泌を抑制する薬や腸管の蠕動機能を改善する薬を用います。
また、間質性肺炎や肺線維症、肺高血圧症などの重大臓器病変を併存する場合は、免疫抑制薬や抗線維化薬、肺動脈拡張薬などが適応となります。
しかしそういったケースでは当院での管理は困難であるため、大学病院や高度医療機関へ紹介させていただきます。
多発性筋炎・皮膚筋炎
多発性筋炎・皮膚筋炎は、免疫の異常によって筋肉に炎症が起こり、主に体の中心に近い筋肉(肩や太ももなど)が弱くなる病気で、特徴的な皮疹が現れる場合もあります。
筋肉の症状だけのときを多発性筋炎、筋炎に加えて皮疹の症状もある場合を皮膚筋炎と呼びます。
皮膚筋炎で現れる特徴的な皮疹としては、まぶたの紫紅色の腫れぼったさや、手指の関節の赤みなどがみられることがあります。
発症は女性に多く、また中年以降に多い傾向がありますが、若い世代や高齢の方など年齢に関わらず起こることもあります。
多発性筋炎・皮膚筋炎では、筋が萎縮し細くなることで、階段の上り下りがつらい、腕が上がりにくい、立ち上がりに時間がかかる、首が持ち上げにくくなる、ものを飲み込みづらくなるといったことが現れます。
こうした症状が続くときは注意が必要です。
このほかの症状としては、発熱やだるさ、体重減少、関節の痛み、レイノー現象、不整脈などもみられることがあります。
検査では、血液検査で筋肉の炎症を示す数値(CKやアルドラーゼなど)や自己抗体を確認し、必要に応じて筋力検査、筋電図、画像検査、筋肉や皮膚の検査を行って診断につなげます。
治療では、ステロイドや免疫抑制剤を中心に、症状や重症度に合わせて調整します。
また、ステロイドによる骨粗鬆症を防ぐための各種薬剤(ビスホスホネート、ビタミンD、カルシウム製剤など)や、胃潰瘍を防ぐための胃酸分泌抑制剤(プロトンポンプ阻害薬など)、感染症の予防のための薬(ST合剤)などを併用することがあります。
筋力低下が続く場合には、体力を保つためのリハビリや生活上の工夫も大切になります。
また、病型によっては急速に進行する肺合併症や悪性腫瘍を伴うことがあるため、息切れや咳がある場合は早めの診断、治療の開始が重要になります。