乾癬・掌蹠膿疱症・脊椎関節炎について

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乾癬(かんせん)や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、そして脊椎関節炎(せきついかんせつえん)は、いずれも「免疫の働きの乱れ」を背景に、皮膚や関節に炎症が起こることがある病気です。
見た目の症状だけでなく、痛みやこわばり、疲れやすさなど、生活の質に影響することも少なくありません。

当院では、免疫異常を背景とする疾患の診療に専門性と経験を持つ内科・リウマチ科担当院長が、皮膚症状と関節症状の両面を意識しながら診療を行います。
「皮膚と関節、どちらも気になる」「どこに相談したらよいか分からない」といったときも、身近な場所で専門性の高い治療を受けられるようサポートします。

乾癬とは

乾癬(尋常性乾癬)は、免疫の異常により皮膚の炎症が続き、皮膚が赤く盛り上がって、銀白色のフケのような皮むけ(鱗屑)が出やすくなり、ボロボロと剥がれ落ちるようになる病気です。
これは皮膚の細胞の入れ替わり(ターンオーバー)の周期が、通常より極端に短くなることで発症します。
感染症ではないため、人にうつるというものではありません。

乾癬の主な原因

乾癬は、免疫細胞の異常によって引き起こされることが分かっていますが、その発症の仕組みはまだよくわかっていません。
原因はひとつではなく、体質に加えて、感染症、生活習慣病、ストレス、肥満、喫煙、飲酒、薬剤などがきっかけとなって発症、悪化することが考えられています。

乾癬の種類と症状

乾癬にはいくつかのタイプがあります。
代表的なものは、皮膚の赤い盛り上がりと皮むけが目立つ「尋常性乾癬」、小さな赤い発疹が全身に広がることがある「滴状乾癬」、膿(うみ)のように見えるぶつぶつが出る「膿疱性乾癬」、皮膚の赤みが広く強く出る「乾癬性紅皮症」、そして関節症状が主となる「乾癬性関節炎」などです。
なお、乾癬のおよそ9割が尋常性乾癬です。

尋常性乾癬の症状には、かゆみを伴うこともあり、頭皮・肘・膝・お尻まわりなどの物理的刺激に晒されやすい皮膚に症状が出やすいのが特徴であるほか、爪の形に異常をきたすこともあります。

また、乾癬の方の一部では関節に炎症が起こる「乾癬性関節炎」を合併することがあります。そのため早めの検査・治療が大切です。
膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症は発熱などの全身症状を伴うことがあり、入院による治療が必要になることもあります。

乾癬の検査・診断

検査の基本は、特殊な観察機器を用いたダーモスコピー検査で皮膚の状態を丁寧に診察し、さらにこれまでの経過や悪化要因、かゆみの程度などを確認することです。

似た病気(湿疹、真菌症、アトピー性皮膚炎など)との区別が必要な場合には、皮膚の一部を採って調べる検査(皮膚生検)を行うことがあります。
関節の痛みやこわばりがある場合は、問診・診察に加え、血液検査(炎症反応など)や画像検査(超音波、レントゲン、必要に応じてMRIなど)で関節炎の有無を確認します。

乾癬の治療法

治療の目的は、皮膚の炎症をしっかり抑えて症状を軽くし、再燃を防ぎ、日常生活を楽にすることです。
症状の広がりや重症度、関節症状の有無に合わせて治療を選びます。

基本は外用療法で、炎症を抑えるステロイド外用薬や、皮膚の過剰な増殖を抑える活性型ビタミンD3外用薬(カルシポトリオール等)、さらに両者の配合剤などを用います。
病変が広い場合は、紫外線照射による光線療法(ナローバンドUVBなど)を検討します。

必要に応じて、内服治療(アプレミラスト、メトトレキサート、シクロスポリン、エトレチナート等)を行い、皮膚・関節の炎症が強い場合には生物学的製剤(TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-23阻害薬、IL-12/23阻害薬など)やTYK2阻害薬も検討します。
これらには、数年来光線療法を行っても改善がみられなかった症例などにも劇的な効果がみられるケースなどもあります。

当院の院長は、豊富な処方経験がありますのでお困りの方はお気軽にご来院ください。

掌蹠膿疱症とは

掌蹠膿疱症は、手のひらや足のうらに、小さな膿疱(膿のように見えるぶつぶつ)が繰り返し出て、赤み・皮むけ・ひび割れ・痛みなどを伴う病気です。
膿疱は、炎症反応に関係する白血球の一種の「好中球」が、皮膚の最上層の角層に溜まった状態です。
うつる病気ではなく、また症状が軽微な方では診断に至っていないケースもあります。

掌蹠膿疱症の主な原因

原因ははっきり一つに定まらないものの、喫煙が強い悪化要因として知られ、扁桃炎や副鼻腔炎、歯周病など体のどこかで感染が生じることや、金属アレルギーなどが関係するとも考えられています。
また、特定の遺伝子を持つ人は掌蹠膿疱症を発症しやすいとの報告もあります。

掌蹠膿疱症の症状

典型的には手のひら・足のうらに症状が出ますが、ほかに爪の変形や、かかとの痛みなどの症状がみられることもあります。
また、胸の前(胸鎖関節周辺)の痛みや背中・腰の痛みなど、関節や骨の炎症(掌蹠膿疱症性骨関節炎)を伴うこともあります。

掌蹠膿疱症の検査・診断

皮膚の所見と経過から診断することが多いですが、白癬(水虫)や汗疱などとの区別が必要な場合には病理検査を行う場合があります。

関節や胸の前の痛みがある場合は、診察に加えて血液検査(炎症反応など)や画像検査で炎症の範囲を確認します。
扁桃炎や歯科疾患などが疑われるときは、関連する診療科と連携して診療を進めます。

掌蹠膿疱症の治療法

治療の目的は、皮膚症状の再燃を抑え、痛みや日常生活の支障を軽くすることです。
まず大切なのは悪化要因への対策で、特に禁煙はとても重要です。

治療は、外用療法としてステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬などを用いることが基本となります。
必要に応じて光線療法や、内服治療としてビタミン剤(エトレチナートなど)、免疫抑制剤(シクロスポリン、メトトレキサート、アプレミラストなど)を組み合わせるなどします。

症状が強い場合や関節症状を伴う場合には、生物学的製剤(TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-23阻害薬など)が選択肢になることもあります。

脊椎関節炎とは

「脊椎関節炎」と呼ばれる疾患としては、強直性関節炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患関連関節炎などがあります。
これらを部位によって分類すると、以下のように分けられます。

名称 疾患例 炎症が生じる部位
体軸性脊椎
関節炎
  • 強直性関節炎
脊椎関節、胸鎖関節、仙腸関節(骨盤の関節)
などの体幹部の関節
梢性脊椎
関節炎
  • 反応性関節炎
  • 乾癬性関節炎
  • 炎症性腸疾患関連関節炎
手指関節などの肩や股より先の末梢関節

各疾患の特徴は以下のとおりです。

強直性脊椎炎

強直性脊椎炎は、画像検査などで仙腸関節や背骨に特徴的な変化が確認されるタイプを指します。
主に白血球に存在する遺伝子HLA-B27が、深く関連して起こる自己免疫疾患(免疫作用が自身の組織を攻撃してしまって起こる)とされています。

強直性脊椎炎の主な症状

症状は多くの場合、若い年代(10代後半~20代)から腰痛が始まり、安静で悪化し、体を動かすと軽くなる、朝のこわばりが強い、といった特徴がみられます。
お尻の奥が痛む、夜中〜明け方に背中や腰の痛みで目が覚める、という症状もみられ、進行すると腰痛が長引き、さらに病変した部位の骨と骨が癒着して動かしにくくなることがあります。

未治療で長期間経過すると、体をそらすことが困難になり、前かがみ気味になったり、股、膝、肩、足などの大きい関節に症状が広がったりすることもあります。
そのため、早期から炎症を抑え、体を動かす習慣を保つことが非常に重要です。

このほか、倦怠感や疲労感、体重減少、発熱などの症状や、腸の炎症による下痢症状、目の痛みや充血(ぶどう膜炎)といった症状が現れる場合もあるため、全身の症状をみながら丁寧に診察していきます。

強直性脊椎炎の検査・診断

検査・診断では、主に症状の経過を確認したうえで、画像検査(レントゲン、MRIなど)を組み合わせて判断します。
早期では画像で確認できない場合には、さらに血液検査も行っていきます。

強直性脊椎炎の治療法

強直性脊椎炎は完治が難しい病気であるため、治療の目的は、痛みと炎症を抑えて生活の質を守り、背骨の動きが悪くなることを防ぐことになります。
体の柔軟性や筋力の維持のためには、運動療法・姿勢のケアはとても大切で、痛みが出ない程度の運動やストレッチを実施していきます。

そしてこうした治療に加えて、薬物治療を行っていきます。
薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を基本に用います。
ただし、長期間使用すると、胃腸や腎臓に影響を与えるリスクがあるため、慎重に注意しながら使用していきます。

十分に抑えられない場合は、近年、新しく認可された生物学的製剤(TNF阻害薬、IL-17阻害薬など)やJAK阻害薬の使用を検討する場合もあります。

反応性関節炎

反応性関節炎は、腸炎(下痢を伴う感染)や呼吸器、尿路・性器の感染などのあとに、体の免疫反応が引き金となって関節に炎症が起こる病気です。

反応性関節炎の主な症状

膝や足首など下肢の関節が腫れて痛む、アキレス腱付着部などが痛む、腰やお尻の痛みが出る、といった症状がみられます。
目の症状(充血・痛み)や、排尿時の違和感を伴うこともあります。

反応性関節炎の検査・診断

診断では、感染のきっかけとなる症状の有無や時期を確認し、血液検査で炎症の程度をみます。
必要に応じて、尿検査や感染症の検査、関節の状態をみる画像検査などを行います。

反応性関節炎の治療法

治療の目的は、痛みと炎症を抑えて回復を促し、長引く場合は慢性化を防ぐことです。
まずは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で症状を和らげ、状況によりステロイドの局所注射などを行うこともあります。

原因となった感染が持続している場合には、抗菌薬治療が検討されます。
症状が長引く場合は、サラゾスルファピリジンやメトトレキサートなどの抗リウマチ薬、さらに必要に応じて生物学的製剤を検討します。